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ヘルパンギーナと溶連菌の見分け方|症状の違いと受診目安

ヘルパンギーナと溶連菌の見分け方

ヘルパンギーナと溶連菌感染症は、どちらも発熱やのどの痛みがみられる病気です。症状が似ているため、「どちらなのか見分けにくい」と感じることもあります。

ただし、ヘルパンギーナは主にウイルスが原因で、のどの奥に水疱や潰瘍がみられやすい病気です。一方、溶連菌感染症は細菌が原因で、急なのどの痛みや発熱、扁桃の腫れ、首のリンパ節の腫れなどがみられます。この記事では、ヘルパンギーナと溶連菌感染症の違い、観察ポイント、受診の目安を解説します。

ヘルパンギーナとは

ヘルパンギーナは、発熱とのどの痛み、口の中の水疱を特徴とする感染症です。乳幼児を中心に、夏に流行しやすい「夏かぜ」のひとつとされています。主な原因はコクサッキーウイルスA群などのエンテロウイルスです。

厚生労働省によると、ヘルパンギーナは感染してから2〜4日後に突然の発熱が起こり、その後、のどの痛みや水疱が現れます。発熱は1〜3日続くことが多く、食欲不振、全身のだるさ、頭痛などを伴うこともあります。

のどの奥に小さな水疱や潰瘍ができるため、飲み込むときに痛みが強くなり、水分や食事を取りにくくなることがあります。小児では、脱水症に注意が必要です。

溶連菌感染症とは

溶連菌感染症は、主にA群β溶血性レンサ球菌という細菌によって起こる感染症です。感染すると、急な発熱や強いのどの痛み、飲み込むときののどの痛み、扁桃が赤く腫れるなどの症状がみられ、首の前側のリンパの腫れ、口蓋の赤い点状出血、扁桃の白い付着物といった特徴的な症状が出現することもあります。

溶連菌感染症は細菌感染のためA群β溶血性レンサ球菌による扁桃咽頭炎では、医師の判断により抗菌薬が投与されることがあります。

見分けるポイント

ヘルパンギーナと溶連菌感染症は、症状だけで完全に見分けることは難しい場合があります。ただし、観察のポイントを整理すると、違いを把握しやすくなります。

項目ヘルパンギーナ溶連菌感染症
原因主にウイルス主に細菌
流行時期夏に多い冬季と春から初夏の2つの流行ピークがある
年齢乳幼児に多い学童期の子どもに多い
発熱突然の高熱がみられ、発熱は1~3日続く急な発熱が多いが、通常発熱は3~5日以内に下がる
のどの所見のどの奥に水疱・潰瘍扁桃の腫れ、白い付着物
咳・鼻水みられることがある目立たないことが多い
治療対処療法が中心抗菌薬が必要な場合がある

ヘルパンギーナでは、のどの奥の水疱や潰瘍が特徴です。一方、溶連菌感染症では、扁桃の腫れや白い付着物、首の前側のリンパ節の腫れなどが手がかりになります。

ただし、実際には症状が重なることもあります。家庭や在宅ケアの現場で「ヘルパンギーナだ」「溶連菌だ」と断定せず、症状の経過や全身状態を確認し、必要に応じて受診につなげることが大切です。

受診を考えたい症状

溶連菌感染症では、扁桃周囲膿瘍などの局所化膿性合併症やリウマチ熱、糸球体腎炎に至ることがあるため、早期に診断し抗菌薬投与する必要があるとされています。そのため、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

  • 水分がほとんど取れない
  • 尿の回数が明らかに少ない
  • ぐったりしている
  • 呼びかけへの反応が弱い
  • 高熱が続く
  • のどの痛みが強く、飲み込めない
  • 発疹がある
  • 首の腫れや強い痛みがある
  • 呼吸が苦しそう
  • けいれんがある

ヘルパンギーナでは、のどの痛みによって水分摂取が難しくなり、脱水症につながることがあります。厚生労働省も、ヘルパンギーナの合併症として、熱性けいれん、脱水症、小児ではまれに髄膜炎や心筋炎などへの注意を挙げています。

在宅での観察ポイント

訪問看護や在宅ケアでは、病名を見分けることよりも、利用者さんや子どもの状態を具体的に観察することが重要です。

確認したいポイントは、以下のとおりです。

  • 発熱がいつからあるか
  • 最高体温
  • のどの痛みの程度
  • 水分摂取量
  • 食事量
  • 尿量や尿の回数
  • 口の中の水疱や潰瘍の有無
  • 扁桃の腫れや白い付着物の有無
  • 咳や鼻水の有無
  • 発疹の有無
  • 家族や園、学校での流行状況
  • 活気の低下や意識状態の変化

記録する場合は、以下のように、症状と経過を具体的に書くと共有しやすくなります。

「昨日夕方から発熱。最高体温39.0度。のどの痛みが強く、水分摂取は少量。口腔内奥に小さな水疱様の所見あり。尿は朝から1回のみ。」

「本日朝から発熱とのどの痛みあり。咳・鼻水は目立たない。扁桃に白い付着物あり。首の前側に圧痛あり。食事摂取は半分程度。」

このように記録すると、医師や看護師に状況を伝えやすくなります。

家庭で気をつけたいこと

ヘルパンギーナでも溶連菌感染症でも、発熱やのどの痛みがあるときは、無理に食事を取らせるよりも、水分摂取を優先します。冷たい飲み物、ゼリー、スープなど、のどにしみにくく飲み込みやすいものを選ぶとよいでしょう。

酸味の強い飲み物や熱い食べ物は、のどや口の中の痛みを強めることがあります。食事量が少なくても、水分が取れていて尿が出ているかを確認します。

溶連菌感染症が疑われる場合は、検査や治療が必要になることがあります。自己判断で市販薬だけで様子を見るのではなく、症状や流行状況に応じて医療機関へ相談しましょう。

まとめ

ヘルパンギーナと溶連菌感染症は、どちらも発熱とのどの痛みがみられるため、見分けにくいことがあります。ヘルパンギーナは、夏に乳幼児を中心に流行し、のどの奥の水疱や潰瘍が特徴です。溶連菌感染症は、急なのどの痛み、発熱、扁桃の腫れ、首のリンパ節の腫れなどが手がかりになります。

ただし、症状だけで正確に判断することは難しいため、家庭や在宅ケアの現場では、病名を決めつけず、発熱の経過、水分摂取量、尿量、のどの所見、全身状態を観察することが大切です。ぐったりしている、水分が取れない、高熱が続くなどの症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者
HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。

【参考文献】

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